「テレワーク(柔軟な働き方)を活用した企業へ転職したい」という相談に対する回答です。
テレワークは労使ともにメリットを享受できるのだが・・・
働く人にとってのメリット&デメリット。
【メリット】
- 通勤がなくなる
- 業務に集中できる
- 多様な人生イベントに対応可能
【デメリット】
- プライベートとの線引きが難しい
- セキュリティリスクを負う
- 人間関係が偏る
課題はあるものの、時間と場所に拘束されない働き方は、労働者にとって魅力的です。企業側も一部オフィスを解約してコスト削減に繋がることが分かりました。さらに人材確保に、テレワーク導入が有効であることが確認されています。
【大企業のテレワークへの取り組み】
- NTT・・・原則5割を在宅勤務
- 日立・・・7割の社員を対象に週半分の在宅勤務
- 富士通・・・今後3年間でオフィスを半減させる
- 日清食品・・・出社率を25%へ抑えるために「予約出社制」を導入
特にIT企業はテレワークとの相性が良く、中小企業でもコロナ禍を機に原則テレワークへシフトした企業が多数あります。
ところが「コロナ禍の緊急時のみ」に対応したテレワークは、本質を得ていません。ほとぼりがさめたら今までの勤務スタイル(原則出社)に戻る企業も多いでしょう。
ここではテレワークを活用して、本気で働き方改革を実現している(実現に向けて努力している)会社を探し出す方法を伝えます。
テレワーク可能な転職先を選ぶ時のチェックポイント
①働き方の価値観はあってますか?
テレワークに限ったことではないですが、「会社」と「自分」の働き方の価値観がズレていると、非常に居心地が悪いです。
社外の人間が企業の価値観を知るには「経営ビジョン」を確認するのが手っ取り早いです。ただ残念ながら、経営ビジョンの原案を書いているのは、社外のコンサル会社であることが大半です。
- 社員研修の一環
- リクルーティング活動
このような理由から起案された経営ビジョンは、言行一致していないことが多いです。なるべく内部事情に詳しい人から情報を入手しましょう。
②職務が明確化されてますか?
テレワークが常態化された企業では、個々の職務が明確化されています。
- 誰が
- 誰の指揮命令で
- どの業務内容を
- いつまでに
- どのレベルで達成する
これらの意思疎通をストレスなく実行できるITツールの活用は必須です。できれば実際に利用しているツール名と、活用方法を確認しましょう。仕事の進め方を細かく確認するほど、転職後のギャップを小さくできます。
例えば「オフィス勤務」を「在宅勤務も可能」へと変更しただけの企業は、在宅勤務管理ツールを導入しています。具体的には、キーボードの入力回数・マススの操作回数を記録する監視ソフトウェアです。これも形式的にはテレワークですが、そのような会社で本当に求めている働き方を実現できるか疑問です。
③ジョブ型の評価制度が整っていますか?
テレワークがうまく機能している会社は、評価制度が「ジョブ型成果主義」です。
理想的な組織形態は、経営陣とプロフェッショナル社員がダイレクトに繋がるアメーバ型。この組織では、中間管理職が不要です。いままで中間管理職が担っていたタスクは、個々のプロフェッショナル社員がまかなうことなります。
シビアな組織のよう感じるかもしれませんが、セルフコントロールできる社員にとって、足を引っ張る上司がいない職場は快適です。さらに中間管理職に搾取されていた給料を取り戻すことが可能です。
④テレワークに対応した就業規則は整っていますか?
テレワークは「働く場所」と「働く時間」の概念を変えます。
【働く場所】
- 在宅
- サテライトオフィス
- ワーケーション(環境の良いリゾート地)
【働く時間】
- 9時~17時
- コアタイム制
- 働く時間(休憩時間)を働き手に委ねる
色々なケースが考えられるのですが、すべて自由では持続可能ではありません。テレワークに対応した就業規則(最低限のルール)を整えている会社のほうが強いです。
【チェックすべきテレワーク勤務の就業規則】
- 定義
- 服務規律
- 対象者(勤続年数・育児/介護/傷病等に限定)
- 労働時間(フレックス・みなし労働時間・裁量労働時間・企画業務型裁量労働制)
- 出退勤管理(始業/終業時刻・業務報告)
- 賃金/費用負担(報酬体系・通信費用・情報端末)
【参考資料】
厚生労働省「テレワークモデル就業規則」
4つの条件を満たした企業(転職候補先)をリストアップする
ここまで読んでいただければ、「我が社はzoomを使っているから、テレワークに対応しています。」というだけの企業はダメだとお察しいただけるでしょう。最低でも前章で記述した4つの条件をクリアしている必要があります。
- 働き方の価値観
- 職務が明確化
- ジョブ型の評価制度
- テレワーク型の就業規則
これらを自力でチェックするのは大変なので、転職エージェントを活用するとよいでしょう。この4条件を満たした会社をリストアップしてもらい、その中から自分とのマッチングを考えていくと、効率よく転職活動へ入れます。転職相談所の使い方について詳しく説明しています。
- 転職先は働き方(テレワークの導入有無)より価値観を重視する
- 持続可能な制度設計に長けた企業を選ぶ
- 候補先企業のピックアップは転職相談所を利用する