かつては50代が中心であった早期退職プログラムが、今は40代まで対象になるケースが多いです。会社規模にもよりますが、2,000~4,000万円の退職一時金を得ることができるので、「もう一度人生やり直したい」と考えている人にとってはチャンスです。いい機会なのに、準備不足で不用意な選択をしてしまうのはもったいない。
失敗例を交えながら、40代で早期退職した後にやってはいけない事をアドバイスします。
アーリーリタイア
早期退職を機にアーリーリタイア生活を始めるのは、ミニマリストの独身者に多いです。生涯の収支シュミレーションをしっかりして、経済的自立を果たしているしっかり者。
このような人達は、退職後数カ月を過ぎると、次第に時間を持て余すようになります。せっかく手に入れた自由な時間を有意義に使おうと試みても、退職金を切り崩す生活を前提にしているので新たな追加支出には敏感にならざる得ません。
40代でアーリーリタイアに成功するのは、趣味人だけです。その趣味を仕事にして、同じ志向の人と生きる道。生活費は退職金を切り崩してまかない、趣味を継続できるだけのお金を稼ぐという考え方。
ここで意味する“趣味”は幅が広いです。遊び(カメラ・音楽・山登り・自転車)だけでなく、現役時代の仕事(得意分野)で独立する事も含まれます。生活費を稼ぐ為の仕事ではなく、自分のやりたい事を追求していくと誰かの役に立つので、ご褒美としてお金を貰えるという仕事。このようなセミリタイアは成功します。
フランチャイズ加盟
独立開業を夢見ていた人にとって、早期退職金ほど魅力的なものはありません。2,000万円ぐらいの自己資金を用意できれば、条件が厳しい大手のフランチャイズに加盟する事も可能です。
しかし、自己資金が豊富だからフランチャイズに加盟するという発想は、失敗リスクが高いです。それはお客様の視点ではなく、自らが儲けることしか考えていないから。ライバルは長年商売をやっている地元経営者。それなのに加盟後に上手くいかない原因を本部のせいにして、何とかしてもらおうと甘えている加盟者が後を絶ちません。
そもそもフランチャイズ加盟はハイリスク・ローリターンのビジネスモデル。フランチャイズ本部にとって、早期退職金を貰った40代の加盟希望者は、カモがネギを背負ってやってくるようなモノ。理想的な収支予想を並べ、ちょっと自尊心をくすぐれば、簡単にサインをする商売の素人とみています。
縁故採用(コネ)で入社
誰にでもありがちな失敗例として多いのは、早期退職後の縁故採用。「ぜひとも、うちに来てください」と声をかけられたら、誰しも嬉しいものです。ただ自分の置かれている状況を冷静に判断する必要があります。
- 引き抜いてくれる理由
- 具体的な仕事内容
- 入社後に求められる役割
- 転職先の業績と将来性
コネで入社してしてしまえば楽ですが、善意であったとしても入社後に紹介者の影響を全く受けない事は難しいです。特に企業幹部としての対外的な顔と、本性が現れる社内の顔は、まるで別人格だったという事は珍しくありません。
あと入社してみたら、業績が悪くブラック体質な会社だったと判明したこともあります。求人サイトを閲覧して転職先企業を探すなら、当たり前にチェックすべき内容なのに、縁故採用だと全て忘れてしまう人がいます。
資格取得や大学院へ通う
今までの社会人経験でスキル不足を感じていて、それを補うために資格取得や大学院へ通う人がいます。勉強期間が半年以上となり、キャリアを途絶えさせるのは好ましくありません。
なぜならば採用する側は、キャリアに空白期間がある求職者を避ける傾向があるからです。「心の病を患っていたのでは?」「前職でトラブルを起こした人なのでは?」など、警戒されます。
生活費を稼ぐのではなく、職歴に空白を作らないという目的で職探しを並行させると良いでしょう。働き方改革の影響もあり、柔軟性のある勤務スタイルを取り入れた求人が出ています。働きながら学ぶという事も、十分可能です。
- お金だけを頼りにする余生は惨めな結果になる
- やりたい事が明確でなければ、働き続ける
- 世間体は捨てて、興味のある仕事を選ぶ