41歳で家電メーカーを辞める決意をした相談者に対するキャリアアドバイザーの回答。そこに至るまでの質疑応答を掲載します。

相談者プロフィール

相談者
【年齢】41歳
【職種】家電メーカー法人営業

≪相談内容≫

いままでのキャリアを活かせる転職先(できれば異業種)を紹介して欲しい。
どのような業界なら40歳を超えた私でも転職に成功できるでしょうか?

キャリアアドバイザーが回答した転職先となる業界候補

キャリア候補

①電子部品や機械メーカー

転職しやすさという点ではナンバーワンです。 完成品を市場に提供する会社ではないので、ブランド力はないですが業績好調な企業は多いです。 大手だと村田製作所日本電産キーエンス

またこの分野には、ニッチ分野で世界に通用する中堅企業もあります。 こちらも転職先として有力。 参考までに経産省が選定した100企業のリストはこちら。
ネームバリューはなくなる上に給料も安くなる可能性は高いけど、仕事の醍醐味を求めて転職するケースもあります。 先方企業が求めるキャリアにマッチさえすれば、数年後に重要ポストを狙う事も期待できます。

②自動車関連メーカー

輸送機器関連のすそ野は広く、日本企業が強い分野です。 そしてガソリン車から、電気自動車や水素自動車へと燃料革命が起きている最中。 そこに自動運転技術が加わり、業界垣根を超える取引が活性化しています。 自動運転に関してはGoogleの実証実験が有名ですが、日本でもZMPのようなベンチャー企業が注目されてます。

まとめると、燃料革命では「家庭用ソーラーパネル+蓄電池+車」、自動運転では「ロボット制御+IT搭載のスマートカー」というセットが今後のトレンド。その結果、異業種で経験豊富なミドル人材の募集が急増している状況です。

懸念点があるとすれば、今は日本勢が優勢ではあるけれど、次世代車でも競争優位を保てるかは未知という事。 テクノロジーの進歩過程で海外勢に追い抜かれる可能性は十分にある。 その点は「10年前の家電業界と似ている」という事を頭の片隅に置いておいたほうが良いでしょう。

③医療機器メーカー

医療機器メーカーと家電メーカーの相性は良く、活躍しているOBも多い業界です。 少し世界を見渡せば大いに納得できるはず。 米国ではGE、ドイツではシーメンス、オランダではフィリップス。 グローバル規模で経済活動する3社に共通しているのは、家電事業を売却してヘルスケア部門へ経営資源を傾斜した事。

話を国内に戻して、どのような企業が転職先候補となるか具体例を挙げてみましょう。 例えば、血球計測分野で世界シェアトップのシスメックス・歯科用ドリルで圧倒的なシェアを持つナカニシ・生体情報モニターや脳波計に強い日本光電工業といった会社が考えられる。

業界用語や医療業界独特の慣習などもある為、最初の1年ぐらいは苦労するかもしれないけど・・・。 みなさんすぐに慣れています。

この業界は景気に左右されにくく、安定的な成長を見込めるのが特徴。 コア技術にプラスαとして、これらの分野に積極的に取り組んでいる企業を探すといいでしょう。

  • 医療とテクノロジーの融合
  • 介護支援とテクノロジーの融合

少子高齢化で医療ニーズが高まるという世の中のトレンドも外してないので、一時的な年収ダウンを受け入れてでもこの分野に今後の人生をかけようという人は多いです。

上記アドバイスに至るまでの覆面トーク

面談風景

アドバイザー

会社の業績悪化の余波として私生活にどのような変化がありましたか?

転職希望者

5年前と比較して年収が2割減りました。 年々下がるので、家族持ち(特に住宅ローン支払い中)にとってはかなり厳しいです。 それと人も減りましたね。 リストラ対象となった50代だけでなく、中堅&若手もだいぶ辞めました。 頑張ってて仕事ができる優秀な人ほど決断が早かった印象があります。

アドバイザー

優秀な人が辞めてしまったら、残された人達は大変なのでは?

転職希望者

色々複雑な気持ちにはなってますが、体力的には今のほうが楽です。 というのも、業績悪化が顕著になってから、予算カットで残業が全面禁止になったからです。 まるでお役所仕事のように定時で帰宅せざる得ないんです。

労働組合がしっかりしているのでサビ残もできません。 だから仕事は全く進まない。 それが業績悪化に拍車をかけている気もしています。

調子が良かったころは、電機連合のありがたみを感じていましたが・・・ 今となっては足かせ以外何物でもありません。 会社を再浮上させようという志士がいても、活躍できる環境がないんです。

役員は「改革」と言ってますが、心の中で「保身」を考えているのが見え見え。 組織的にガタついているので、上役達のドタバタを隠し切る余裕がなく憐れです。

アドバイザー

既に会社には見切りをつけているようですが・・・ 会社に残るという選択肢はもうないのですか? 40代前半であればまだ大丈夫だと思いますが、転職後に無理をして体調を壊した人を何人か知っています。 また若い人の転職とは違って、成功する確率が低くなるのは否めません。 焦る必要はないので慎重に考えるべきですよ。

転職希望者

65歳が定年だとすると、私にはまだサラリーマン人生が24年もあります。 業績が低迷する企業で、ダラダラと過ごす気はありません。 あと24年あれば、もう一度活躍できる場を得られると信じています。 だから新しい職場環境が必要なのです。

アドバイザー

良く分かりました。 ただ異業種への挑戦は少し苦労すると思いますよ。 それを承知の上ですね。

転職希望者

はい覚悟しています。 私が家電業界から脱出したいのは、この業界が縮小していくのを肌身で感じているからです。

パナソニックに吸収された三洋電機社員の待遇の話はご存知ですか? 三洋電機はパナソニックの完全子会社となり、パナソニック本体に吸収合併されました。 ところが同じ職場で同じ仕事をしているのに、元三洋電機社員の給与体系は低く設定されたまま放置。 そして採算性が悪い事業部門は、3年後にハイアール(中国の家電メーカー)へ人馬ともに売却されました。

かつての松下電器産業と名乗っていた時代であれば、そこまではやらなかったはずです。 サムスン・LG電子・HTC・鴻海といった急成長中のアジア勢に対抗する為に、やむを得なかったのでしょう。 パナソニックに「統合の行方を見極める」という余裕(時間&資金面)がなかった事による結末です。

家電業界はどこもこのような状況です。 買収する側の企業ならともかく、これから消滅する側の企業に居残ってもいい事はありません。 だから求人市場が好調なうちに新しい転職先を決めたいのです。

アドバイザー

まさにその通りですね。 自分の置かれている状況をとても客観的に捉えているところが素晴らしい。 あなたは冷静かつ情熱的な方なので、書類選考さえクリアすれば面接受けも非常に良いでしょう。 近日中に今までのキャリアを活かせる他業種の企業を具体的にリストアップさせていただきます。

転職希望者

よろしくお願いします。

■■■ 編集後記 ■■■

【①】
鴻海傘下に入ったシャープの業績が改善基調との報道が出てきました。ただ短期的な決算数字のみで判断するのは早計です。これからシャープの中核を担うはずだったエース級人材は、既にゴッソリ退職してます。

【②】
不正会計で決算発表を再三延期せざるえない東芝の混迷は酷いですね。債務超過を避ける為に事業部門の切り売りを急いでいるようですが、数年後の東芝はいったい何屋になっているか先が見えません。 「チャレンジ」と称したパワハラに続き、今度は「不適切なプレッシャー」という新語が出てきました。 大企業に入れば一生安泰という神話が崩れる事例になりそうです。