殺人的な忙しさのせいで思考停止に陥っている現場監督や施工管理さん。建築業界内での転職市場トレンドを簡潔にまとめてます。

転職先候補&業界の先行き

現場監督

  • 基本的な休みは日曜日のみ
  • 出張仕事だと3週間通しはザラ
  • 常に工期がギリギリ
  • 業務以外に建築士やら資格試験の勉強も大変
  • たまに休んでも疲れてて何もできない
  • 建設労働者のメンタリティの低さに失望する
  • 現場が変わる毎に転勤となり落ち着いた生活が出来ない

入社前は「地図に残る仕事」と夢を抱いていたけど、あまりの忙しさに心を失なってしまった。 給料はたいして良くないけど、使う暇がないからお金は貯まる。 たまに地方のキャバクラで散在している自分が空しく感じる。 ゼネコンで働いている人々が口にするのは、労働環境の改善。

この状況が1社だけの問題なら、ブラック企業として晒されるか、有志が立ち上がる事で何かが変わるかもしれないけど・・・ たちの悪いことに業界全体がそのような体制だから、変わるには相当な時間を有するのだと思う。

ゼネコン

ゼネコン現場

清水・鹿島・大林組などのスーパーゼネコンは、アベノミクス+オリンピック効果の影響で仕事は急増中。 そのあおりを受けて院卒の設計者達に寝る暇はない。

今は国内需要が旺盛だけど、中長期的にみれば今後の主戦場は間違いなく海外。 とりわけ注目されているのはアジア諸国のインフラ事業。

企業もそれが分かっているので、着々と現地企業と不動産開発に特化した合弁会社を設立して、需要の取り組みに躍起になっている。 なので国内需要がしぼんだとしても会社としては安泰かもしれない。

ただ懸念される問題は社員の生活。 経営数字上は問題はなくても、海外の現場が増えれば、社員も海外へ出向かなければならない。 しかもベトナム・タイ・カンボジアといった国々へだ。

新興国への赴任は家族が嫌がる。 上手く説得出来たとしても治安や衛生面に不安があり、子供がいる場合は教育問題にも頭を悩まされる。 いままでもさんざん家族を犠牲にして働いてきただけに、今後の決断はさらに厳しい判断になるでしょう。

ハウスメーカー

住宅展示場

住宅着工件数は直近20年で半分にまで落ち込んでます。 今後も少子化&核家族化が進む予想なので、この流れに逆らうことは難しいでしょう。

そうなると、残されるのは豊富な資金力で宅地開発からやれる積水ハウスのような大手か、独自色を打ち出している一条工務店のような会社しか生き残りは厳しいでしょう。 顧客の節約志向が強くなる中で、この業界の下請け構造が誰もが知る状況となり、なんとなく憧れやイメージだけで家を建てる人は減っています。 その影響もあって今後の収益の柱は、新築からリフォームへとシフトしていかざるを得ないでしょう。

それでも腕に自信があれば、設計事務所や地域工務店で活躍する道もあるけど、ハウスメーカーを離れると給与水準はガクッと落ちます。 お金より仕事の中身を追求したいという熱い魂がないと成功はおぼつきません。 名義貸しをしなければ成り立たない建築士や、欠陥住宅を指摘され訴訟をいくつも抱えている工務店は少ないなくないです。

ハウスメーカーで何棟も複数の現場を掛け持ちながら、毎回代わり映えしない規格住宅をブツクサつくっている方が、生活は安泰です。

ディベロッパー

三菱地所と三井不動産を筆頭にディベロッパーの先行きは悪くない。 ゼネコンやハウスメーカーと比較すると、業界全体の給与水準は高い。 ただ残念なのはディベロッパー大手は中途採用をほとんどしない。

なので狙い目はランドビジネスやヒューリックのような新興系。 給料より安定を求めるなら電鉄子会社系といったところになります。

不動産仲介

レインズが一般公開されれば不動産仲介業は潰れると言われて久しいですが・・・ もし仮に一般公開されたとしても、不動産仲介の仕事は安泰でしょう。

ネットで中途半端な情報が氾濫する世の中だからこそ、不動産取引のプロは頼られる存在になるのです。 物件の立地や価格だけでなく、目に見えない建物の瑕疵や災害リスクにまで気を配らなくてはなりません。 逆にそこまでトータルで説明できない仲介屋は淘汰されるでしょう。

ディベロッパー・ハウスメーカーに勤めていた人が、不動産仲介業へと転職する傾向は多いです。 業界関係者だと採用されやすいという利点は確実にあります。

ただ気になるのは不動産仲介業への転職者は増加傾向だけども、離職者も増えているという事。 給与に占める歩合給の割合が多い会社だと、なかなか生活が安定しなくて将来性に不安を感じるケースが多いようです。

公務員

土木技術職員

公務員のメリットは、転勤や単身赴任になる事がほとんどない事。

しかも各都道府県では災害対策関連の予算がついているけど、土木部門の技術職員が圧倒的に不足している状態。 その為、最近では多くの地方自治体で民間企業からの転職者を受け入れている。 一般的な公務員採用試験は年齢制限が厳しいのに、土木や建築関連の技術職だと40代でも大丈夫な事が多いです。

ただ仕事の忙しさは配属部署により色々。 決して公務員だからのんびり仕事をしているというわけではなく、日が昇り切らないうちに現場に到着して帰宅は午前様という勤務形態もあり、民間とそれほど変わらないこともある。 おまけにネッチョリとした人間関係のしがらみも多く、民間企業より仕事以外の精神的ストレスも多い傾向にあると思っていたほうが良いです。

あと大手ゼネコンでバリバリ働いていた人にとっては、仕事のやりがいが減る事は覚悟したほうが良い。 公務員になるとルーチンワークが主体となりキャリア成長は止まります。 職場のほとんどの人が「大過なく定年まで過ごすこと」が最大の目的なので、次第に自分もその空気感に染まるはず。

実は公務員へ転職したことを後悔している人は意外と多いです。 あまり知られてないですが、役所関連は人生目的を見失いうつ病となる人が多い職場の一つでもあります。

異業種へ転職できる可能性は?

異業種へ転職

異業種から建築業界への転職は結構多いけど、建築業界から異業種への転職者は少ないです。 それでも法人営業として、住設・産業設備・医療機器メーカーへ転職する人はいます。

最近の転職業界の傾向として、学歴や職歴ではなく人物本位で採用を決める企業が増えています。 異業種へ素手素足で立ちむかうとなると最初は苦労しますが、40歳ぐらいならまだまだこれから先のほうが長い。 人生のやり直しは、1歳でも若い時のほうが良い。 思い切った決断を求められます。

今回のまとめ
  • 建築業界全体的に人手不足
  • 忙しくても将来キャリアを考える時間を取る
  • 40歳までは異業種への転職も可能