金融業界出身者やポストコンサルの転職先として、後継者に悩んでいるオーナー企業で「雇われ社長」として活躍してみるのも面白い。

優良な中小企業を引き継ぐ

CEO

中小企業のオーナー社長は、55歳を超えると自分の後継者を探し出す。 ところが社内に適当な人材が見当たらず、円滑な事業継承は見込めない。 その為、外部から社長候補を幹部として招き入れ3~4年でバトンを渡したいという心づもりを持っている。

日経の記事によると、中小企業は全国に180万社あり、その内の6割(100万社)が後継者不足に悩んでいるとのこと。 そして毎年数万社が「後継者が見つからない」という理由で、廃業という選択をとっている。 もちろん中には債務超過で誰も引き受け手がなかった会社もあるが、そうではない優良企業も混ざっている。

稀に社長公募を大々的に実施している企業があるが、普通はやらない。 そんなことをすれば取引先や自社の従業員に不安を与えるだけだから。 一般的には誰にも悟られないように水面下で動く。

実は近年このような事業継承を目的としたヘッドハンティングの相談を非常によく受ける。 候補者に求められるスキルは決まってこの3点。

  • 事業意欲
  • タフな精神力
  • 数字に強い人

これらを兼ねそろえているのは、元金融マンやコンサル出身者であることが多い。 事実そのような経歴の人を紹介すると話がまとまりやすい。

雇われ社長の給料や待遇について

気になるのは「どのような待遇で働くことになるのか?」という事でしょう。 オーナー側が事前にハッキリと条件提示をしてくる事はあまりなく、相談次第という事になる。

ありがちなモデルケースとしては、年収1,200万円+業績給として経常利益に比例。 業績を向上させれば収入は青天井。

あと株の配分比率も事前に取り決めておくほうがいいでしょう。 最終的に50:50まで比率を高められる権利を有しておくのがベストです。 あと細かな話では、経費枠や社宅といった福利厚生面の詰めも必要。

さらに人事権をどこまで委譲してもらえるかは重要。 仕事は出来なけどオーナーの太鼓持ちとして出世した人材の取り扱いや、親族関係者が役員として残留する場合は事前協議で路線を固めてしまわねばならない。

あまり最初から待遇条件ばかりに終始するのは良くないが、ある程度は事前に話しておきたい。 何度も打ち合わせを重ねて事業ポリシーの確認をしても、給与含めた待遇のズレが大きすぎると時間の無駄になってしまう。

そのあたりは、上手にヘッドハンターやエージェントのコンサルタントを利用するのが良い。 彼等も慣れているので、概算要求基準を取りまとめるのは得意です。

自らのストーリーを打ち出してオーナー関与を最小限にする

事業計画書

うまく条件がまとまって入社したら、まずはオーナー社長を安心させなければならない。 その為には一にも二にも数字の把握。 オーナーに突っ込まれても完璧かつ簡潔に即答できる準備を怠らないことです。

その段階が経過したら、既存とは異なるスキームで利益を出す事。 先代のやり方を引き継いでいるだけでは、いつまでもオーナーが口を出してきます。 それはつい最近まで自分でやっていたことだから、細かなことが気になるのです。

でも、新しいスキームで売上が立ちだすとオーナーにとっては未知です。 初めは「そこ、どうなってるの?」と聞いてくるでしょうが、順調に利益が出ていれば何も言わなくなります。

そして「あいつに任せておけば、俺よりうまくやる」と思わせたら勝ち。 あとは気持ちよく引退する為の花道を用意してあげて、老後生活をエンジョイしてもらいましょう。

今回のまとめ
  • 世代交代を求めている企業は多い
  • 報酬は第三者を入れて紙面にまとめる
  • 新機軸で収益を上げる事に注力してオーナー関与を減らす