生命保険会社の歴史を振り返り、今後の業界未来像を推測してみました。
生命保険業界の動向
■1990年以前 生保レディ全盛期
生命保険への加入ルートは「生保レディ」一択という時代。 社会人になると、上司や先輩から会社に出入りしている「生保レディ」を紹介され、なんとなく加入していた。 日本生命・第一生命・住友生命が代表格。
■1990年~2000年 「生保レディ」vs「外資系ライフプランナー」
プルデンシャル生命の日本市場参入で業界に激震が走る。 貯蓄性向の高い保険を理詰めで説得する営業手法。 高学歴の男性営業マンがノートパソコンを駆使するスタイルが定着する。 プレゼント攻撃が主体だった従来型の国内生保レディのやり方を否定して、保険契約をひっくり返していった。
■2000年~2010年 乗合代理店の台頭
乗合代理店が誕生するまでは、生保レディも外資系ライフプランナーも、自分が所属している会社の商品のみ扱っていた。(1社専属) それが保険業法の改正で、1社の保険代理店が複数社の生命保険を取り扱えるようになった。 乗合代理店と言われてピンとこない人は、大型ショッピングモールにある保険ショップをイメージしてみましょう。 「保険見直し本舗」「保険ひろば」「みんなの保険」など・・・ 詳しい内容は乗合代理店への転職は地雷だらけをご覧ください。
■2010年~現在 ネット生命保険会社の台頭
保険会社の営業コスト(人件費・店舗運営費)を最小限に切り詰めることで、低価格の保険商品を直販する手法。 その代表格がライフネット生命。 そしてアクサダイレクトやオリックス生命もすぐに参入して市場が広がる。 ネットリテラシーが高くてコスト意識が強い若者から指示されている。
■2020年~ ○○○の台頭
(未来予想はこのページの最後に記載)
このようにほぼ10年単位で生命保険に加入する消費者の選択肢はドンドン広がった。 その一方で保険商品を売る保険営業員達の新旧攻防は凄まじいものがある。 ボヤボヤしていると時代遅れのイケてないない営業マンになり下がりかねない状況。
競争環境の激化だけでなく、どんどん賢くなる消費者
保険営業の基本は、「誰もが抱えている漠然とした不安を具体的に認識させ、万が一に備えて貰う」というのがセオリー。
これが今後も続く事は確実。 でもこのセオリーが有効に機能する為には重要なキーファクターが必要。 それは「保険を売る側」と「保険を買う側」の情報格差。 格差が大きければ大きいほど有効に作用する。
ところがこの情報格差を埋めるネタが、著書・雑誌・ネット情報の至るところで氾濫している。 1億総暴露時代となった今日、企業側に有利な情報だけを選別して消費者に届けることなどできない。
その代表例が「保険不要論」。 良識派?FPが、正義感たっぷりに「医療保険はいらない」「積み立て型生命保険より投資信託を買え」と主張している。 保険会社側の人間からすると、結構痛いところを突かれている。
「保険不要論」でしっかり理論武装している客を落とすことは結構難しい。 民間保険の代替となる社会保障制度や共済関連まで具体的に調べ上げられると、もうお手上げ。 このような時流があるので、好成績を収めている営業マンでさえうまくいかない時が増えている。
保険渉外員のキャリア展望
国内の生命保険契約高は伸びているものの、伸び率は鈍化。 これは人口統計的にもどうすることもできない現象。 具体的な数値は、生命保険協会の統計資料で確認できるので、まだ閲覧したことがない人は一度目を通しておくといいでしょう。
現時点で保険経費率まで情報公開して、攻めているのはネット専業生保なのだが、ネット専業生保がこのままシェアをグングン侵食していくのかというと、それはあやしい。
日本のマイナス金利政策がいつまで続くは不明だけども、長引けば体力のない保険会社は淘汰されることが予想される。 それは銀行や証券も一緒で金融業界全体の問題なので、おそらく業界再編があるでしょう。
今後のキャリアを考えるときは、保険という狭い業界だけで考えては駄目。 金融業界全体像に視野を向ける事です。
そう考えた時、金融とITテクノロジーの融合(フィンテック)で、新しい業態が登場する可能性が高い。 現時点での予想は、「今後のチャンスはそこにあるのでは?」と考えている。
既に保険関連のフィンテック企業が誕生している。 契約希望者の年齢・職業・健診データ・家族構成を入力すると、ライフイベントとそれに必要な保険商品が会社横断的に表示される。 そしてリスク許容度を高めにするか低めにするかを選択すると、自動的に最適な保険プランが出来上がる。
「あれっ、保険営業いらない?」
いえいえそんなことないです。
クロージングは、やっぱり対面営業でしょ。
その前段階であるDM配布とか紹介営業ってのがなくなる。
そして、お客さんの知識レベルが上がってくるので、それを上回るコンサルティング能力が必須になるはずです。
というわけで2020年~の保険業界の動向は、「保険関連のフィンテック企業が台頭」と刻まれる可能性は高いでしょう。
- 保険とITの融合は必至
- 集客方法は変わる
- コンサルティング能力が求められる